住所クレンジングで自動修正してはいけないケース|「要確認」に残す判断基準
住所クレンジングでは、すべての違いを自動的に確定・上書きすればよいわけではありません。複数候補や情報不足、旧住所、建物情報など、修正候補として示すものと要確認に残すべきケースを具体例付きで解説します。

住所データを整える作業では、文字列を変更できることと、一つの住所に確定してよいことは別です。郵便番号や旧住所、建物名・部屋番号、地名文字には複数の解釈があり得ます。本記事では、推測で上書きせず「要確認」に残す判断基準を整理します。
表記整理・修正候補・要確認を分ける
表記整理は、対象と変換規則が明確で、意味を変えずに整える処理です。修正候補は、公的データや住所辞書との照合で得られた候補であり、自動採用を意味しません。要確認は、複数候補、情報不足、根拠不足などにより一つに確定できない状態です。
重要:自動処理できることと、自動確定してよいことは同じではありません。
郵便番号候補が複数ある
日本郵便の郵便番号データには、一つの町域が二以上の郵便番号で表される場合を示す項目があります。この場合、町域だけでは郵便番号を特定できず、丁目、番地、小字などの追加情報が必要になることがあります。
一つの郵便番号が複数町域を表す場合もある
一つの郵便番号で二以上の町域をまとめて表す場合もあります。郵便番号と番地だけでは住所を特定できないことがあるため、郵便番号が一致しただけで住所を確定しません。詳しくは郵便番号と住所が合わない原因を参照してください。

住所情報が不足している
たとえば「東京都○○区○○町」までしかない場合、丁目・小字・番地が候補の選択に必要なら、推測で補完しません。情報不足は、候補を一つに絞る根拠が不足している状態として要確認に残します。
旧住所を単純置換できない
日本郵便の市町村変更情報は、変更が告示された市町村のうち郵便番号を公表した市町村を掲載する情報です。全国の旧住所を現在住所へ一対一で変換する万能表ではありません。旧市名を見つけても、全文置換だけで現在住所を確定しないようにします。
自治体の旧新対照表も、対象日・対象地域・収録範囲が資料ごとに異なります。鹿児島市の対照表は住居表示実施日に現に使用されていた住所を対象にしており、条件によって掲載されない場合があります。旧住所の確認は旧住所から現住所を調べる方法も参考にしてください。
ABRだけで詳細住所を完全確定しない
デジタル庁のアドレス・ベース・レジストリ(ABR)は町字データを全国基盤として整備しています。一方、街区符号・住居番号・地番など町字より下位の整備・共通化は進行中です。ABRジオコーダーが住居表示や地番に対応していても、ABRの正式全国データの全階層が完全整備済みという意味にはなりません。
建物名・部屋番号・地名文字を推測しない
「1-2-3-301」の末尾が必ず部屋番号とは限らず、「サンプル21ビル301」の数字も同様です。建物情報の分割は候補として扱い、確定値として自動採用しません。住所と建物名・部屋番号を分ける方法も確認してください。
「ヶ」「ケ」や異体字も、文字だけを一律に置換しません。単純な文字置換と、住所辞書・住所階層との照合による正規化は別の処理です。詳しくはExcelで住所の表記ゆれを整える方法を参照してください。
大口事業所個別番号と重複候補を確認する
通常の町域郵便番号CSVには、大口事業所へ個別に設定された郵便番号は含まれません。通常CSVで一致しないことだけで、入力郵便番号が誤りとは判断しません。また、同じ住所でも別顧客であることがあります。住所一致は、重複削除ではなく名寄せ判断の入口です。
3段階で扱う

この三段階は本記事の説明を整理するためのものです。修正候補は候補を提示する状態であり、確定した正解を意味しません。
判断フロー

まとめ
複数候補なら確定しない、情報不足なら推測しない、旧住所や地名文字を文字列だけで置換しないことが重要です。郵便番号の特殊ケース、大口事業所個別番号、建物情報、同住所でも別顧客である可能性を考慮し、元データ・修正候補・要確認を分けて残します。
住所データを確認する
少量のデータから確認対象を分けると、見直す順番を整理しやすくなります。