アドレス・ベース・レジストリ(ABR)とは?住所データの仕組みと使い方を解説

アドレス・ベース・レジストリ(ABR)は、デジタル庁が整備する住所・所在地関係のベース・レジストリです。町字ID、ABRジオコーダーとの違い、現在の整備範囲、利用時の注意点を解説します。

アドレス・ベース・レジストリ(ABR)は、住所・所在地に関する公的な基礎データを、複数の行政や事業者が参照しやすくするための取り組みです。住所を一つの文字列として扱うだけでなく、町字などの単位を識別子と結び付けて扱えるようにします。

アドレス・ベース・レジストリ(ABR)とは

ABRはデジタル庁が進める住所・所在地関係のデータベースです。法律上のベース・レジストリの名称は「公的基礎情報データベース」とされます。住所データの取得や更新をそれぞれが重複して行う負担を減らし、データ連携をしやすくすることが目的です。

なぜ住所の共通基盤が必要か

住所には住居表示、不動産登記、郵便番号、自治体の町名など、目的ごとに異なる情報があります。同じ場所でも表記が異なることがあり、単純な文字列比較だけでは参照先を揃えにくくなります。住所クレンジングの考え方を先に確認すると、ABRが担う範囲を区別しやすくなります。

複数の住所データを共通の住所・所在地基盤ABRで参照しやすくするイメージ
共通の参照先があっても、元データの用途や更新時点は別に確認します。

2026年現在の整備範囲

都道府県・市区町村・町字のデータが公開され、町字データは2025年6月1日に正式版として公開されました。一方、街区符号、住居番号、地番など下位の住所階層は、全国で一律に正式データが完成したという段階ではありません。2026~2027年度には先行自治体で住居表示台帳等のデジタル化・実証が進められ、2027年6月までに今後の整備スケジュールを検討する計画です。

2026年現在のABRで整備済みの町字と整備検討中の街区・住居番号・地番を示す図
町字と、それより下位の住所階層を同じ完成度として扱わないことが重要です。

町字IDでできること・できないこと

町字IDは、町字データを共通のキーとして参照するための識別子です。表記の揺れを含む住所を扱う際に、対応先を記録する手掛かりになります。ただし、町字IDを永久不変の値として扱ってはいけません。データには更新・訂正の記録があり、利用時は版や更新日も残します。

複数の住所表記を正式な町字表記と町字IDへ対応させるイメージ
町字IDは、建物名、部屋番号、居住者や配送可否まで示すものではありません。

ABRとABRジオコーダーの違い

ABRは住所・所在地のデータです。ABRジオコーダーは、そのデータなどを利用して入力住所を照合・正規化し、町字ID、緯度経度、一致レベル等を返すオープンソースの処理ツールです。ジオコーダーが住居表示や地番を検索できることと、ABRの全国データが下位階層まで完全整備済みであることは同じではありません。

ABRの住所・所在地データとABRジオコーダーによる住所正規化処理の違い
データそのものと、住所文字列を処理するツールは分けて理解します。

日本郵便の郵便番号データとの違い

日本郵便のCSVは、郵便番号と住所等の対応データです。ABRは住所・所在地関係の共通基盤で、町字ID等を持ちます。ABR町字・郵便番号変換表は参考情報として公開されていますが、住所全文と郵便番号を完全に1対1で変換する表ではありません。

ABRに一致すれば住所は全部正しいか

いいえ。ABRへの一致は、人物が現在居住していること、番地・建物名・部屋番号まで確認済みであること、郵便物が届くこと、同一顧客であることを保証しません。データの一致と名寄せは別の処理です。住所正規化と名寄せの違いもあわせて確認してください。

まとめ

ABRは住所・所在地を共通の基礎情報として扱うための仕組みです。町字IDを活用できる一方、下位階層の整備状況、データの更新、照合結果の粒度を区別し、確定できないデータは要確認として残すことが大切です。

住所データをまとめて確認する

少量のデータから、表記の違いと確認が必要な箇所を分けて確認してみてください。

住所データをまとめて確認する

参考情報

デジタル庁:アドレス・ベース・レジストリデジタル庁:ベース・レジストリデジタル庁:ABRジオコーダー