旧住所を新住所に変換するには?市町村合併・町名変更の調べ方
市町村合併や町名変更などで古くなった住所を、現在の住所表記と照合・確認する方法を解説します。日本郵便や自治体の公式情報を使った調べ方と、大量データを更新するときの注意点も紹介します。

数年前に作った顧客名簿を見直していると、現在は使われていない市町村名や町名が残っていることがあります。「この住所は今ならどう書けばいいのか」と迷う場面もあるでしょう。
ただし、地名だけを見て推測で一括置換するのは危険です。市町村合併だけで済むケースもあれば、住居表示の実施によって町名・街区符号・住居番号まで変わっているケースもあります。
この記事で扱う「旧住所」は、市町村合併、区再編、町名変更、住居表示など、行政上の変更によって古くなった住所表記です。個人・企業が転居したことによる「以前の居住地」とは区別して説明します。
住所が古くなる主な理由
住所表記が古くなる背景には、市町村合併、区再編、市制・町制などに伴う名称変更、町名変更、住居表示の実施、町名地番整理などがあります。どの制度が関係するかによって、変わる範囲は市区町村名だけの場合もあれば、町名や番号まで及ぶ場合もあります。

まず「旧住所」の意味を分けて考える
行政上の変更による旧住所
市町村合併や住居表示などによって、地域の住所表記そのものが変更されたケースです。この記事の主な対象はこの種類です。公的な変更情報や自治体の対照表などを使い、対象地域・対象時点を確認します。
個人・企業の転居による以前の住所
人や企業が別の場所へ移動したことで生じる以前の住所は、行政上の住所変更とは別の問題です。日本郵便の転居・転送サービスは、転居届に基づき旧住所宛ての郵便物等を新住所へ転送する仕組みであり、第三者が転居先を検索するためのサービスとして扱いません。
まず日本郵便の「市町村変更情報」を確認する
日本郵便の市町村変更情報は、市町村変更が告示されている市町村のうち、郵便番号を公表した市町村を、実施日の新しい順に掲載しています。実施日、都道府県、変更前市町村、変更後市区町村を確認できるため、市区町村レベルの行政変更を調べる入口として有用です。
ただし、これは全国すべての住所について旧表記と新表記を対応付ける一覧ではありません。町名、丁目、番地、街区符号、住居番号、地番まで含めて現在表記を確定できるとは限らないため、旧市名を新市名に置き換えるだけで完了とはしません。
郵便番号も現在の情報で確認する
町域名などの変更に伴い郵便番号が変更されることがあります。住所の地名部分だけを直して旧郵便番号を残さないよう、日本郵便の郵便番号検索や郵便番号データで、現在の郵便番号も別途確認します。
自治体の「旧新対照表」を確認する
住居表示や町名地番整理が関係する場合は、自治体の公式サイトで「住居表示旧新対照表」「新旧対照表」「町名変更旧新対照表」などを探します。検索時は「自治体名 住居表示 旧新対照表」「自治体名 町名地番整理」などを手掛かりにし、最終的には自治体公式サイトの資料を確認してください。
対照表は便利ですが、全国共通の万能な変換マスタではありません。公開範囲、記載項目、基準時点、対応方向、網羅性は自治体・実施時期ごとに異なります。たとえば鹿児島市の住居表示旧新対照表の案内では、住居表示実施日に使用されていた住所を対象にしていることが示されています。
対照表の使い方:1つの旧住所から現在住所が一意に決まらない場合や、資料の対象外となる場合があります。候補が複数あるもの、情報が不足するものは、推測で確定せず「要確認」に分けます。
住居表示の変更は単純な市町村名置換とは違う
住居表示の実施では、町名と地番を使った表記から、新しい町名・街区符号・住居番号を使う表記へ変わることがあります。そのため、市町村名の文字列だけを置き換える処理と同じようには扱えません。
旧住所を文字列の一括置換だけで直すのは危険
旧市名と新市名の対応が明確なデータであれば、候補を作るための置換は役立つことがあります。しかし、町名変更、区再編、住居表示、番号変更などが加わると、1つの旧住所に複数の候補が生じることがあります。候補を作る処理と、現在住所として確定する判断は分けましょう。

アドレス・ベース・レジストリ(ABR)は何に使える?
デジタル庁のアドレス・ベース・レジストリ(ABR)は、住所・所在地に関するデータベースです。町字データは2025年6月1日に正式版として公開されており、現在の住所・所在地情報を標準化・確認する公的データ基盤として役立ちます。
一方で、町字より下位の街区符号、住居番号、地番については整備方法の検討が進められている段階です。ABRを全国の旧住所履歴や、旧住所を現在住所へ完全変換するデータベースとしては扱いません。
1件の旧住所を確認する手順
- 元の住所を保存する:元データを上書きせず、確認結果を別の列や項目に記録します。
- 行政上の変更かを切り分ける:個人・企業の転居による以前の住所とは混同しません。
- 日本郵便の市町村変更情報を確認する:市区町村レベルの変更と実施日を確認します。
- 現在の郵便番号を確認する:旧郵便番号をそのまま使わず、現在の情報で照合します。
- 自治体の旧新対照表等を確認する:必要な地域・制度に対応した資料を探します。
- 候補が一意に決まるかを確認する:決まらなければ、要確認として残します。

大量の旧住所データはどう扱う?
数百件以上の古い住所データを扱う場合は、住所マスタ、自治体等の公開情報、現在住所データとの照合を組み合わせ、結果を「変換確定」「候補あり」「複数候補」「情報不足」「要確認」などに分けて管理します。
古い顧客名簿や住所リストを現在の情報と照らしたい場合、住所クレンジングとは?の記事では、元データを残しながら確認結果と根拠を区別する考え方を解説しています。全角・半角やハイフンなど、住所文字列の表記ゆれをExcelで整理したい場合は、Excelで住所の表記ゆれを整える方法も参考にしてください。
行政上の旧住所と引っ越し前の住所は違う
行政上の住所変更は、公的な変更情報や旧新対照表で対応を確認できる場合があります。これに対し、個人・企業の転居は、その人や企業が別の場所へ移動した情報です。日本郵便の転居・転送サービスは、旧住所宛て郵便物等を新住所へ転送するためのサービスであり、第三者が転居先を調べる仕組みではありません。
古い住所データをまとめて確認してみる
古い顧客名簿や住所リストを使っていて、現在の住所データと照らして確認したい場合は、「本当のトコロ」で住所データを確認できます。まずは少量のデータから結果を確認し、判断できないものは要確認として扱ってください。
まとめ
旧住所には、行政上の住所変更によるものと、個人・企業の転居によるものという別の意味があります。本記事で扱ったのは前者です。日本郵便の市町村変更情報は確認の入口になり、自治体の旧新対照表は地域によって有用な資料になります。
ただし、どちらも全国の旧新住所を完全に変換する万能な資料ではありません。郵便番号も現在の情報で確認し、ABRも現在の住所・所在地情報を確認するための基盤として位置付けます。確認できる住所は更新し、一意に判断できない住所は要確認として残すことが、安全な住所データ管理につながります。